隔離用資材
隔離シート
ポイント
アスベスト処理作業場を隔離するためのシート。材質は一般的にポリエチレンで、床は厚み0.15mm以上のシートを二重に、壁面は厚み0.08mm以上 (実寸0.1mm) のシートを一重にして使用する。
シートにアスベスト(石綿)が付着したときは、粉じん飛散防止処理剤を表面に散布し、アスベスト(石綿)の再飛散を防止する。使い捨てとし、廃棄時は廃棄袋に、飛散抑制剤等で安定化、二重こん包で特別管理産業廃棄物として処理する。
グローブバッグ
ポイント
腕を入れるためのグローブと一体化したポリエチレンシートの隔離養生用の袋で、パイプ部のアスベスト(石綿)含有断熱材、配管保温材等を部分を局所除去する際や補修作業時に使用する。
グローブバックの使用により、外部からのアスベスト除去作業が安全・短時間で可能となる。作業終了後、グローブバッグと床に敷いたプラスチックシートの表面の汚れをHEPAフィルタ付真空掃除機やウェットタオル等で十分汚れを除去し、廃棄袋に入れて特別管理産業廃棄物として処理する。
セキュリティゾーン
エアシャワー
ポイント
セキュリティゾーンの洗身室に設置。前室で保護衣等を脱衣し、呼吸用保護具・下着・体表面に付着したアスベスト(石綿)を除去するために使用。
呼吸用保護具を装着したまま、エアシャワーで全身を30秒以上洗身する。吹出口からのエアで石綿を吹き飛ばし、アスベスト汚染されている空気を清浄空気に変換する。
引用
環境省 建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル
ウォーターシャワー
ポイント
セキュリティゾーンの洗身室に設置前室で保護衣等を脱衣し、呼吸用保護具や体表面等に付着したアスベスト(石綿)を除去するために使用。
使用した水は、排水ろ過装置等でろ過処理したあと排水する。
排水ろ過装置
ポイント
アスベスト(石綿)含有物をろ過する高性能のフィルタ層で構成されている。ウォーターシャワーからの排水やセキュリティーゾーン前室で保護具・機器等を洗浄した排水のろ過に使用する。
排水ろ過装置のフィルタを廃棄時は、廃棄袋に入れ、飛散抑制剤等で安定化、二重こん包で特別管理産業廃棄物として処理する。
負圧集じん・排気装置
特定建築材料の掻き落とし等による除去の場合、集じん・排気装置の設置が義務付けられている。隔離された作業場内の空気を換気することでアスベスト(石綿)濃度を低減し、作業場内を常に負圧に保つことで汚染された空気を外に逃さない。作業場内の負圧の程度をマイクロマノメーター(精密微差圧計)によって確認し記録する。
マイクロマノメーター(精密微差圧計)
ポイント
集じん・排気装置が稼働し、負圧状態が適切に維持されているかを測定する装置。
自動記録装置付きが望ましい。-2~-5Paの負圧を確保できるよう適切な装置を選択する。
引用
環境省 建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル
スモークテスター
ポイント
作業場内の負圧下での空気の流れや養生の確認、集じん・排気装置でアスベスト(石綿)粉じん等の漏洩がないか確認する装置。
白煙量が多く、集じん・排気装置への腐蝕の影響のないものが望ましい。
湿潤化用資機材
エアレススプレイヤー
ポイント
アスベスト(石綿)含有吹付け材除去の際に、除去面、作業場内空間、プラスチック袋に詰める廃石綿、隔離シート等への粉じん飛散抑制剤の散布に使用。
ダイヤフラム式とプランジャー式がある。ただし、エアの圧力によって石綿が飛散し、汚染する可能性も高い。
粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)
ポイント
アスベスト(石綿)粉じんの飛散を抑制する薬液。アスベスト(石綿)、含有物、付着物に散布し、内部に十分含浸させたうえで作業を行う。
作業場内空間への散布により浮遊している粉じんの沈降を促進。安定化を目的として、廃棄袋に詰める廃石綿等に散布して使用する事できる。SDS(安全データ)を確認することが必要。
粉じん飛散防止処理剤(固化剤)
ポイント
アスベスト(石綿)粉じんの飛散を防止する薬液。アスベスト(石綿)、含有物、付着物、除去後下地、隔離シート面等に散布し、表面を固化して内部を繊維間結合させる。封じ込め工法でも使用。封じ込め工法に使用する場合、建築基準法第37条に基づいて認定を受けた粉じん飛散防止剤を使用する。
安定化を目的として、廃棄袋に詰める廃石綿等に散布して使用する事できる。塗布した建築材料が、通常の使用において劣化に耐えられる、脱落しない、付着強度が低下しない等の性能が求められる。SDS(安全データ)を確認することが必要。
散水設備
ポイント
水を使用する散水設備には、適切なノズルを備えたシャワー、スプレー等がある。ノズルの回転で広範囲に散水するスプリンクラ、もっと広範囲の散水には、散水車を使用。
散水の際は、排水の適切な処理が必要。
保護衣・呼吸用保護具等
保護衣・専用の作業衣
ポイント
アスベスト(石綿)処理を行う作業では、石綿粉じんの付着を防止するために、除去作業に応じて指定された保護衣又は専用の作業衣を着用する必要がある。隔離作業場からの退出の都度、使い捨てで廃棄し、特別管理産業廃棄物として処理する。
使い捨て下着の上に保護衣を直接着用することが望ましい。頭部を含む全身を覆う形状で、保護衣と呼吸用保護具、手袋、シューズカバー等との接合部はテーピングで密閉する。JIS T 8115:2010(化学防護服)の浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)、もしくは同等品以上のものを使用する。
二次汚染を防止するために、作業衣は、アスベスト(石綿)を取り扱わない作業着や通勤着とは区別すること。石綿を取り扱う作業以外の作業で着用する作業衣や通勤衣と区別して使用する。表面が平滑で粉じんが付着しにくい材質で、ポケット数が必要最小限のものが望ましい。
引用
環境省 建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル
呼吸用保護具
呼吸用保護具区分
区分別呼吸用保護具・保護衣
隔離空間の内部でアスベス除去作業を行う場合
ポイント
隔離空間の内部で着用する呼吸用保護具除去対象製品、及び除去等対象工法から指定された呼吸用保護具区分①を使用。
電動ファン付き呼吸用保護具は JIS T 8157 に定める漏れ率が 0.1%以下(S級)、フィルタの捕集効率 99.97%以上(PL100 または PS100)で、全面形、半面形、フード型。
送気マスクはJIS T 8153、空気呼吸器は JIS T 8155、圧縮酸素形循環式呼吸器は JIS M 7601 に適合したものを使用。
隔離空間の外部でアスベス除去作業を行う場合
ポイント
アスベスト(石綿)及びアスベスト(石綿)含有成形板等の切断作業の場合、除去対象製品及び除去等対象工法から指定された呼吸用保護具の区分①、区分②、区分③を使用。
切断を伴わない作業の場合は、呼吸用保護具の区分①、区分②、区分③、区分④を使用する。取替え式防じんマスクは、国家検定合格品の区分②、区分③を使用。切断を伴わない作業の場合は、国家検定合格品の区分④を使用してもよい。
隔離空間外でアスベスト除去以外の作業を行う場合
取替え式防じんマスクまたは使い捨て式防じんマスクを使用する。
引用
環境省 建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル
保護帽
国家検定合格品を使用する。アスベスト(石綿)粉じんの付着しにくい材料を使用しているものもある。
引用
環境省 建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル
保護めがね
JIS T 8147(保護めがね)のゴグル形で、半面形取替え式防じんマスク(粒子捕集効率 99.9%以上) RS3またはRL3、取替え式防じんマスク(粒子捕集効率 95.0%以上) RS2またはRL2の半面形の取り換え式防じんマスク使用時に使用する。
安全帯
安全帯は,厚生労働省の構造規格に適合したものを使用する。
保護手袋
ニトリルラテックス製,ビニル製等があり、JIS T 8116(化学防護手袋)適合品が望ましい。
引用
環境省 建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル
そのほか
真空掃除機
ポイント
HEPAフィルタ付きの真空掃除機のこと。事前清掃・作業中清掃・最終清掃時に使用。
特定建築材料の除去作業では、前室内でフィルタの交換を行うことが多い。フィルタは、廃棄袋に入れ、特別管理産業廃棄物として処理する。
廃棄袋
ポイント
実寸 0.15mm以上の厚みをもつプラスチック袋。二重にして使用する。
一層目のプラスチック袋には廃石綿等の特別管理産業廃棄物用であることを表示し、特別管理産業廃棄物であるこが識別できる必要がある。